手足をはじめ、全身の関節に痛みを生じるリウマチ。発症すると完治する事は難しく、悪化すると生活の質が著しく低下します。 現在では、最新の生物学的製剤を使った治療などで、痛みをほぼ感じずに日常生活を送ることも可能になってきました。
リウマチは、感染、出産、ケガやストレスなどがきっかけとなって身体を守る仕組み(免疫)に異常が起こり、関節など自分の身体を攻撃してしまう原因不明の疾患です。手足をはじめ、全身のあらゆる関節に炎症を起こす可能性があり、微熱や貧血、肺、皮膚、血管の炎症が生じることもあります。女性がかかりやすく、30〜50代で多く発症します。
診断は症状や血液検査、尿検査、X線検査などを行い、総合的に判断します。症状が似た別の疾患も多く、診断には専門的な知識と注意が必要です。間違えやすい疾患には、痛風、感染性関節炎、リウマチ以外の膠原病などがあり、中でも変形性関節症は間違えられることの多い疾患です。
近年では、診断にアメリカリウマチ学会(ACR)/ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)による関節リウマチの分類基準を用いることが増えており、早期段階での診断が可能になっています。
免疫の異常により慢性の経過をたどることが多いリウマチは、残念ながら完治する病気だとはいえません。しかし、リウマチ治療のめざましい進歩により、早めの診断や適切な治療によって、ほとんど罹患していると自覚せずに日常生活を送ることが可能となってきました。これを低疾患活動性〜寛解といい、寛解とは病気の症状がほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態を意味します。
治療では「(1)炎症と痛みなどの症状がなくなること」「(2)関節破壊の進行がほぼ止まること」「(3)身体機能の維持」の3つの寛解を目指します。早期に治療を開始することで、中には、抗リウマチ薬を使用しなくても治癒したといえる状態にまで症状が改善する患者さんもいます。
従来のリウマチ治療は、薬物療法、理学療法、手術療法などを、必要に応じて組み合わせて行われていました。しかしこの10年ほどで治療法が飛躍的に進歩し、現在は薬物療法が主流となっています。
当院では最先端のバイオテクノロジー技術によって作られた生物学的製剤による治療を数多く行っています。炎症を起こす物質や細胞の活性化を抑える薬なのですが、TNFαやIL‐6といった標的とする物質の違いや、点滴または皮下注射という投与方法の違いを含め、9種類あります。当院ではこれまでの臨床経験により蓄積されたデータをもとに、患者さんの症状や合併症、年齢、職業、通院可能回数、経済的負担といったあらゆる角度から検討したオーダーメードの治療を実践しています。
これらの治療はいずれも保険適用で、重症患者さんの関節破壊の抑制がより現実的なものとなりました。
手足のこわばりや腫れ、関節の痛みなど、初期症状が疑われる場合は、リウマチ専門医の在籍するクリニックを受診することをお勧めします。また、必要時にはすぐに骨や胸のX線写真が撮影できて、判断が下せること。さらに各種超音波検査や胃の検査なども可能な施設がベストといえるでしょう。なぜならリウマチは関節のみならず、肺や心臓、腎臓、皮膚など関節以外にも症状が出現することがあるからです。また神経への影響や骨粗鬆症になりやすくなる恐れもあります。さらには特殊な薬も多く、その副作用も常に考慮するなど、リウマチ治療を行う医師は各種薬剤について十分な知識を持ち、かつ全身管理を怠ることなく治療を進めていくことが大切です。
前述したとおり、リウマチは慢性の経過をたどることが多く、その症状も千差万別。患者さんと医師とは長い付き合いになるので、一人ひとりの将来を見据えて診療にあたってくれる、信頼できる相性の良い先生に診てもらうのがベストです。
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